車上荒らしの4割は自宅で起こっている?手口や傾向、対策グッズを解説
車上荒らしは、車上ねらいとも呼ばれる犯罪手口の一つです。車に積まれた現金や荷物、部品を盗む犯罪です。中には、車そのものを盗む犯人もいます。
2000年以降は、高機能のカーナビが多数販売されていることも受け、カーナビだけを盗むケースが増加傾向にあります。ハイブリッドカーの場合、バッテリーだけが盗まれるケースも後を絶ちません。
車上荒らしというと、コンビニやショッピングセンターの駐車場で被害に遭うイメージがとても強いです。しかし、実は被害の6割以上が自宅の駐車場や、契約駐車場で発生するのです。
自宅のすぐ近くに車を置いているから大丈夫と過信せず、十分な対策を行うのが重要です。
- 車上荒らしの手口とは
- どんなものが狙われるのか
- 自宅でできる予防策
について説明します。
目次
車上荒らしの手口
警視庁のデータによると、2018年に東京都内で発生した車上荒らしは2,958件でした。2017年が3,845件だったことを考えると、一年間で23.1%減少しました。
減少傾向にある車上荒らしですが、対策不要なほど撲滅されたわけではありません。
むしろ、最近では新しい手口による犯行が流行りはじめています。しっかりとした対策が必要です。
車上荒らしが起こる場所
一般社団法人 日本損害保険協会の2017年度 自動車盗難事故実態調査 結果報告によると、車上荒らしが発生した場所は、
- 自宅の屋外駐車場:39.6%
- 契約駐車場:34.2%
- 通勤先駐車場:6.5%
- 自宅の屋内駐車場:5.4%
の順で多いです。(本来、ランキングの3位には7.9%のその他が該当しますが、複数の発生場所をまとめた数値であるため省きました。)
約4割の車上荒らしが自宅の駐車場で発生しているのです。これまでの車上荒らしのイメージに多かった、コンビニやスーパーの駐車場での発生はわずか1.8%です。
出かけた先で車の戸締まりをしっかりすることはもちろん、自宅の駐車場にとめた後も、施錠や対策をしっかり行うのが重要です。
いつでもできる車上荒らし対策として、
- 短時間の不在であっても必ず施錠する
- 財布やかばんなどを外から見える場所に置かない
などがあります。車上荒らし犯のターゲットにならないよう工夫するのが大事です。
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施錠しても狙われるリレーアタック
車上荒らしの手口の中でも、最近注目されているのがリレーアタックです。
車のスマートキーの特徴を悪用した厄介な手口で、2019年に日本国内で初めて容疑者が逮捕されました。
スマートキーとは、実際に鍵穴にささなくても扉を開けたりエンジンをかけられたりできる鍵です。多くの車種でスマートキーが活用されています。
常に微量の電波を出し続けた状況を維持し続け、鍵と車が近づいたときだけ反応するようにしてあるのです。
本来、スマートキーの電波が届く範囲は約半径1メートル程度です。そのため、車の所有者は何の心配もせずに自宅で鍵を保管します。
リレーアタックとは、この電波を増幅させて離れた距離からでも車の鍵を解錠させる犯行手口です。
特殊な装置を使って、自宅内で発せられているスマートキーの電波を受信・増幅します。装置何台かを使って、電波の受信・増幅をリレーのように繰り返すことで、車の近くまで電波を持ってくるのです。
スマートキーから発せられる電波と同じものが近くに到達するので、当然車は解錠されます。
車の窓ガラスを割ったり、扉を傷つけずに犯行がおこなわれます。大きな音も出ないので、持ち主や近所の人も気づきにくいです。
もともと海外でよく行われる犯行手口でしたが、最近では日本でも話題になってきました。
2019年5月17日には、愛知県で日本初のリレーアタックによる自動車盗で容疑者が逮捕されました。
電波で解錠できる「スマートキー」が装備された車を狙って、キーの電波を傍受して不正解錠する「リレーアタック」という手口で車を盗んだとして、愛知県警は1日、名古屋市中区丸の内3丁目、自動車販売会社役員の南部栄二容疑者(47)を窃盗容疑で逮捕し、発表した。
県警は認否を明らかにしていないが、リレーアタックによる自動車盗容疑の逮捕は、全国初とみられるという。
捜査3課によると、南部容疑者は5月17日、愛知県常滑市の会社員男性(35)宅の駐車場で、男性の高級乗用車や車内の腕時計などを仲間と共謀して盗んだ疑いがある。
これからの車上荒らし対策は、リレーアタックによってスマートキーが悪用されることも念頭に置いて行わなくてはなりません。
車上荒らしで狙われるもの
車上荒らしというと、「お金持ちの車や現金が奪われてるものだ」と考える人はとても多いです。しかし、そのイメージは間違いです。
実際に被害にあった車は、海外の高級車から軽自動車まで様々です。また、車そのものが盗まれるパターンもあれば、積まれた荷物だけが奪われるパターンもあります。
どんなものが車上荒らしに狙われるのか説明します。
高級車だけが狙われるわけではない
車上荒らしと言われると、高級車の盗難がイメージされがちです。しかし、被害にあったものの多くは一般家庭で使われるような乗用車です。
確かに、車両そのものを盗む車両本体盗難の車名別順位は、
- プリウス:22.3%
- ランドクルーザー:11.5%
- ハイエース:10.1%
- レクサス:9.0%
- スカイライン:5.0%
と高級車が多い印象を受けます。
しかし、車の積荷や部品を狙った盗難事件だと、
- プリウス:7.3%
- ヴェルファイア:4.5%
- アルファード:4.3%
- ヴォクシー:4.2%
- ハイエース:4.2%
などの車種が並びます。
(どちらのデータも、2017年度 自動車盗難事故実態調査 結果報告を参考にしています。)
どちらも1位は日本を代表する大衆車であるプリウスです。これは、プリウスだから狙われるというよりも、プリウスの普及率が高い点が原因かと思われます。
実際、プリウスは2017年の上半期一番販売された車種とのデータもあります。
またプリウスなどハイブリッドカーはバッテリーそのものが狙われるケースが増えているため、ランキング上位になりやすいといった理由もあります。
自分の家の車は高級車じゃないから、日本車だから、といって油断してはいけないのです。
車上ねらいで最も盗まれるのはカーナビ
車両本体でなく、車の部品やを狙った車上荒らしにおける被害品で一番多いのはカーナビです。
これは、取り外したあとに、お店で売り払って現金化することが目的だと思われます。
その他にもどんなものが盗まれたのかまとめてみました。
- カーナビ:15.5%
- スポーツ用品(ゴルフバッグなど):11.5%
- バッグ類:10.2%
- 金銭・カード類:10.0%
- タイヤ・ホイール:10.0%
いずれも高く売り払えるもの、現金化しやすいものがランクインしています。
高価なものは車内に置いたままにしない、見える場所に置かないなどの対策が重要です。
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車上荒らし対策に有効なグッズ
車上荒らしを防ぐためには、
- ターゲットにならない
- 万が一狙われたときの被害を最小限にする
の2つのポイントが重要です。
まず、ターゲットにならないためには防犯カメラや車載カメラを使って、防犯対策をしっかりしているアピールをするのがおすすめです。
また、万が一狙われてもすぐに気づけるように、アラームや防犯ブザーを車内に設置するのもおすすめです。
最近では、リレーアタックを防止する電波を遮断する効果のあるキーケースも人気です。
リレーアタック防止キーケース
アマゾンや車部品販売店では、リレーアタック防止用のキーケースが販売されています。
このキーケースに入れておくと、スマートキーから発せられる電波が遮断されます。犯罪者に傍受される心配がないので、安心です。
自宅から駐車場までの距離が短い場合や、車の近くで鍵を保管している場合は、これらのグッズを使うとよいと思います。
リレーアタック防止用キーケースの値段は、製品によって様々です。
男女問わず使えるポーチ型デザインのキーケースは、Amazonで2,000円強で購入可能です。
MONOJOYのリレーアタック防止キーケース(Amazon)
防犯カメラで常に犯人を威嚇
防犯カメラや車載カメラは、被害に遭ったときに証拠を残せるだけでなく犯人を威嚇する効果もあります。
犯罪者は自分の証拠が残ることを恐れます。そのため、カメラがついた家や場所には近づかない傾向があります。
実際、空き巣もターゲットにした家に防犯カメラが設置されているのを見ただけであきらめてしまうのです。
近年では、安価で誰でも設置できるような防犯カメラが多数販売しているので、自宅の駐車場や玄関付近に簡単にとりつけられます。
おすすめは、Helenvisionの防犯カメラ(Amazon)です。
防水仕様なので、屋外の駐車場にも設置可能です。動体検知機能がついているので、撮影範囲に不審な人物が現れたらすぐに撮影が可能です。
iOS/Android/ Windows /MACシステムに対応しており、お持ちの端末にアプリをダウンロードすれば、外出先からでも映像の確認ができます。
窓用アラームで犯人を撃退
防犯カメラと合わせておすすめなのが、窓用アラームです。作動中に大きな振動を感知すると大音量で知らせてくれます。
おすすめのYihiro 超薄型 窓 ドア 防犯アラーム は本来は住宅の窓に設置するためのアラームですが、車の窓にも設置可能です。
両面テープで設置するタイプなので、誰でも簡単に設置できます。スイッチをオンにした状態で、窓の開閉や衝撃を感知すると100デシベルの大音量で周りに知らせます。
100デシベルは、電車が通ったときのガードレール下と同じ位の大きさの音です。相当大きな音であることがわかります。
スイッチのオンオフは簡単に切り替えられるので、乗車時に誤作動を起こす心配はありません。
アラームの裏側は警告ステッカーになっていて、車上荒らしをしようとする犯人に威嚇する効果もあります。
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