空き巣が嫌がる庭の防犯対策、戸建てはマンションよりも狙われやすい
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マンションよりも戸建ての方が空き巣に侵入されやすいことが、警察庁の調査でわかっています。家を囲むフェンスや塀の種類によっては、侵入しても人目につきにくく隠れやすいためです。
戸建ては窓の数が多いため、鍵の閉め忘れも起こりやすいです。鍵を閉め忘れた窓やドアからの侵入は、空き巣の形跡が残りにくいので発見が遅れます。
空き巣は常習犯であることも多いので、狙いやすい家を特定すると侵入を繰り返すこともあります。
戸建てに住んでいる方、これから家を建てる方に、庭の防犯対策について解説します。
戸建ては狙われやすい
空き巣などの侵入窃盗は、全体の約40%が戸建てで発生しています。戸建てが空き巣に狙われやすい理由は、窓などの侵入経路が多く、塀や草木で身を隠せるメリットがあるためです。
侵入の手口で多いのは無締りが45%、ガラス破りが38%です。無締りとは、鍵がかかっていない窓やドアから侵入することで、住民の不注意から起こります。
窓の数が多いと、鍵の閉め忘れも増えがちです。中でも、トイレや風呂場の窓は換気が必要なため、常に開けっぱなしにしている家庭も多いです。
換気目的で使用されるルーバー窓は、短時間でガラス板を外し侵入経路を確保することができるので、非常に防犯性能が低い窓です。面格子や防犯ブザーで窓の防犯対策をしている場合でも、侵入を完全に防ぐことはできません。
玄関・窓・庭の防犯性を高めることで、「防犯に気をつけている家」だと空き巣にアピールすることは、もっとも重要な防犯対策です。
空き巣は金目のものがありそうな家を選ぶよりも、侵入しやすい家を優先的に狙います。
空き巣が嫌がる家とは
空き巣が嫌がる家は、庭をきれいに整備している家です。雑草の手入れを怠っている家では、「庭が荒れている=防犯にも気を使っていない」と判断されやすいです。
空き巣は、侵入前に必ず下見をします。侵入のしやすさ・逃げやすさ・留守かどうかは必ずチェックし、捕まらずに犯行を終えられるように準備します。
慎重な空き巣ほど下見に時間をかけ、住民の家族構成や生活パターンをチェックし、確実に家に人がいない時間帯を狙って侵入します。
このとき、目立ちにくい窓でも無締りの箇所があれば、空き巣に絶好のチャンスを与えることになります。
「防犯に気をつけている家」だと判断されるには、ホームセキュリティを導入したり、防犯グッズを付けることも大切です。
お金をかけずにできる防犯対策としては、「きれい好き・整理整頓をしている」と空き巣に思わせることです。そのためには外から見えやすい庭や家の周りを掃除しておく必要があります。
初対面の人に会うときの第一印象に気をつけるように、家の第一印象を整えておくことで、空き巣が嫌がる家にすることが可能です。
新築時の対策
防犯性能の高い家にするには、フェンス・生垣・電柱に気をつける必要があります。
フェンスを高くすると、家が人目に触れにくくなるのでプライバシーが守られます。逆に泥棒にとっては、身を隠しやすく好都合な作りになりがちです。
また、塀の上に忍び返しを付けることはあまり意味がありません。空き巣は訪問販売員のようにスーツを着たり、工事業者の作業着を着て、それぞれの地域になじむ格好をしています。
そのため、塀を飛び越えて侵入するよりも正面から堂々と敷地内に入ることが多いです。
家の敷地内に入らせない・隠れやすい場所を作らない工夫が必要です。
フェンスは格子タイプを選ぶ
フェンスの目的は大きく3つあります。
- 防犯:不法侵入を防ぐ
- プライバシーの保護:周囲から家が丸見えになるのを防ぐ
- 境界線:土地や道路と明確に区別する
境界線を付ける目的のみならば、フェンスは低くても問題はありません。プライバシーを守るためにフェンスを設置する場合には、目の位置よりも高くするため2m以上になることも多いです。
プライバシーの保護と防犯性は反比例しています。塀の高さを上げればプライバシーは保たれますが、防犯性は低くなります。
目隠しは高ければ高いほどいいというものではありません。例えばコンクリートの壁を高く積み上げた場合、風通しが悪くなりますし、外の景色が全く見えなくなるのでストレスを感じるかもしれません。
フェンスの高さを検討するときは、どんなことをしているときのプライバシーを守りたいのかを細かく検討する必要があります。
行動ごとの目隠しの高さの目安は以下のとおりです。
・お庭に立っているとき・・・・・・・・・・・150~160cm程度
・お庭でイスに座っているとき・・・・・100~120cm程度
・お庭でしゃがんでいるとき・・・・・・・60~80cm程度
・家の中で立っているとき・・・・・・・・・190~220cm程度
・家の中でイスに座っているとき・・・140~170cm程度
・家の中でしゃがんでいるとき・・・・・100~140cm程度お庭に目隠しを設置して気になる視線を遮ろう!プライバシーを守る目隠しの活用方法(株式会社ルボワ)より
また、フェンスの種類もいろいろなタイプがあります。防犯面で考えると、隙間のある格子状のフェンスやシルエットが透けるタイプがおすすめです。
個人的には、空き巣が姿を隠せない格子タイプのフェンスを選び、プライバシーの保護に強いカーテンを窓に設置することで室内の様子をわかりにくくする方法が良いのではないかと思います。
生垣のメリット・デメリット
生垣を設置するメリットは、自然な方法で仕切りができるので風通しや日光をよく通し、景観もアップすることです。季節を感じられ、風情を楽しめます。
また、樹木は火災が横に広がるのを防ぎます。環境に優しい街づくりに貢献できるだけでなく防災面の強化にもつながるので、生垣を設置すると助成金がもらえる県や市もあります。
生垣の高さや種類は、数が多いので悩むポイントです。トゲがある植物を植えると、人だけでなく野良猫などの侵入も防ぐことができます。
フェンスにつるを巻き付けながら育つ植物は、生垣を作るよりも狭いスペースに設置できるため、敷地面積を広く使いたい家庭におすすめです。
デメリットは、水やりや剪定が必要不可欠になることです。また、花粉症の方や虫や鳥が苦手な方は、生垣や植物がストレスになるかもしれません。
電柱の移動
電柱の位置によっては、一階だけでなく二階からも侵入しやすくなります。敷地内に電柱があり、生活に支障をきたす場合は、位置を変えてもらうことも可能です。
電柱の所有は、電力会社かNTTです。電柱の移動や防犯対策をしたい場合は、電柱に書いてある番号に連絡が必要です。状況によっては移動が難しくても、足場をとるなどして防犯対策に協力してくれます。
足場がなければ、侵入の難易度はあがります。電柱が目立つ場所にあるなら、泥棒はそこからの侵入は避けるはずです。
電柱の移設費用は電力会社では無料になりますが、NTTでは状況によってお金がかかります。
空き巣は光や音、自分の姿が記録されることを嫌うので、電柱にライトや防犯カメラの設置を頼むことも効果的です。
中部電力では、「mimamori-pole(みまもりポール)」という街頭防犯サービス・敷地内監視サービスの提供を始めました。
道路などの公共スペースにある中部電力の電柱に防犯カメラを設置し、犯罪の抑制を図ります。
自治体や商店街の担当者から申し込むことができ、通常時ではインターネットに接続されていない状態で、カメラの映像を録画します。
事件が発生すると、自分のパソコンやタブレット端末から証拠映像をダウンロードすることが可能です。
敷地内監視サービスは、家の敷地内に電柱がある家庭で利用できます。利用者は自治体だけでなく個人で契約することも可能です。
侵入者を感知するとメールで通知が届くなど、ホームセキュリティさながらの防犯対策ができ、電柱からの侵入に効果があります。
mimamori-poleの詳細はこちら(中部電力公式サイト)
既存住宅の対策
既存住宅でも簡単に防犯グッズを導入する場合には、
- 防犯砂利
- センサーライト
- 防犯カメラ
がおすすめです。それぞれ詳しく説明します。
防犯砂利
防犯砂利は、その上を歩くと大きな音がすることから、光と音が嫌いな泥棒にとって避けたいアイテムの一つです。
庭全体に敷き詰めるとより効果がありますが、特に家の裏側、人目につきにくい場所の窓の下に設置することをおすすめします。
たとえばトイレや風呂場に設置されている小窓は鍵の閉め忘れが多く、空き巣が目をつける場所でもあるので、防犯砂利で対策すると安心です。
ホームセキュリティで知名度のあるALSOK(アルソック)には音砂利という防犯砂利があります。実際にその上を歩くとどんな音がでるのか、こちらをご覧ください。
少しの体重移動で大きな音がでるので、家の中にいても外の不審者に気づきやすくなります。防犯砂利を設置するときは、雑草を掃除したあとに防草シートを敷くと、雑草が育ちにくくなります。
また、アルソックの音砂利は白ですが、防犯砂利にはさまざまな色があります。白など明るい色は、汚れが目立ちやすいとの口コミもありました。
何色か組合せて模様を作ることも可能なので、お庭の景観に合わせて設置できます。アイリスオーヤマの防犯砂利は色も豊富で評判です。
センサーライト
センサーライトは人感センサーを搭載している照明で、近くで人が動くと反応してライトをつけます。
電池式・コンセント式・ソーラー式の3タイプあり、日の当たる場所に設置するなら、ランニングコストのかからないソーラー式がおすすめです。
ただしソーラー式のライトは光の量が弱いこともあるので、気になる方は電池式を選ぶと安心です。
コンセント式は、コンセントまで配線がつながっているので景観が損なわれますが、広範囲を明るく照らすことができます。
設置場所は、街灯が当たらない暗いところや狙われやすい出入り口が適切です。夜間に庭や家の周りを実際に歩いてみて、「暗い」と感じるところを照らすイメージで設置すると良いです。
ムサシはセンサーライトメーカーとして知名度があります。センサーライトの選び方ページがわかりやすいので、気になる方はチェックしてみてください。
防犯カメラ
センサーライトと一緒に防犯カメラを設置するとより効果的です。防犯カメラは、防犯対策の中でも最終手段のようなもので、抑止力が高いです。
家の壁から、庭全体や窓を映すようにして設置します。赤外線カメラを選ぶと、暗くなってもしっかりと人の姿を映すことができます。
防犯カメラの設置は、コンセントから電気供給が必要になる場合が多いです。配線のないカメラはダミーだと判断されることもあります。配線カバーは雨風にさらされる場合に便利です。
ドーム式のカメラは屋内用がほとんどなので、屋外の設置には向いていません。防水機能のついた屋外用のカメラを選ぶことが大切です。
また、防犯カメラの抑止力だけを必要としている場合、ダミーカメラを設置する方法もあります。気になる方はこちらの記事が参考になるかと思います。
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効果的なダミーカメラの見分け方、ばれにくいポイントは配線にあった
庭をきれいに保つ
庭の防犯対策で需要なポイントは2つです。
- 敷地内に侵入させない
- 隠れやすい場所を作らない
敷地内に侵入させないためには、庭の状態をきれいに保ち、空き巣に隙を見せないことが大切です。
防犯砂利・防犯カメラ・センサーライトは既存住宅にも手軽に設置でき、下見をする空き巣は侵入しにくい家だと判断しやすいです。
新築時にはフェンスや生垣の種類で、空き巣が隠れにくい家を作ることができます。プライバシーを保つには高い塀が必要ですが、防犯性は低くなります。
隙間の空いているフェンスを設置し人目につきやすい作りにすると泥棒は簡単に動き回れないので嫌がります。
詳しいフェンスの種類や選び方は、LIXILの公式サイトが参考になると思います。