意外と大人も知らない110番の仕組みと正しいかけ方、緊急通報用の電話番号一覧も

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110番正しいかけ方

110番通報といえば、警察へ繋がる緊急通報用の電話番号です。日本人は、幼いときから「なにかあったら110番に電話しなさい」と教えられます。が、110番に関する正しい知識を持っている人は少ないです。

たとえば、110番通報は、自宅の据え置き型電話や、携帯電話・スマホからかけたとしても、通話料が無料なのはご存知でしょうか。

あるいは、いたずらで通報を繰り返すと、逮捕されたり、罰金刑が課されたりすることをご存知でしょうか。

110番に関しては、私達大人でも知らないことは多いのです。

2013年の警察庁のデータによると、1年でかかってきた110番通報は941万件だったそうです。これは、国民の約14人に1人が通報した、という計算になります。

「自分が通報することなんてない」という考えは甘いです。誰でも110番に関する知識を持っておくべきだと思います。

本記事では、意外と知らない、110番の仕組みとかけ方について説明します。110番以外の緊急通報用の電話番号一覧もまとめました。

110番をかけるべき時

110番は、緊急性のある事件や事故が発生したときにかけるべき連絡先です。交通事故や窃盗事件に遭ったときや、目撃したときにはためらわずにすぐ連絡しましょう。

一方で、警察への問い合わせや苦情など、緊急でなくてもよいことのために連絡するのはいけません。本当に警察の助けを必要とする人の通報を阻害します。緊急ではないが、警察に相談したいことがあるときは、#9110(警察相談専用電話)を活用してください。

また、いたずらで110番通報するのは、絶対にやめましょう。2019年には、いたずらで警察に通報する遊びをしていた未成年が、偽計業務妨害の疑いで逮捕された事件がありました。

こんなときはすぐ110番を

以下のような被害にあった、あるいは目撃した場合は、ためらわずに警察に110番通報をしてください。

  • 交通事故
  • 強盗・窃盗事件
  • 空き巣被害
  • 特殊詐欺被害
  • ストーカー被害
  • 児童への声かけ
  • ひったくり被害

通報するのは、実際に被害にあった方でも目撃者でも構いません。とにかく、緊急事態の発生からすぐ連絡するのが重要です。

また、「たくさん目撃者がいるから、誰かが通報するだろう。」と考えて、何もしないのはよくありません。社会心理学には、傍観者効果という言葉があります。

傍観者効果

1つの事件に対して、自分以外にもたくさんの目撃者がいた場合、率先して行動を起こそうとしない心理。

アメリカで実際にあったキティ・ジェノヴィーズ事件では、女性が暴行されているところを38人の人が目撃していたにも関わらず、誰も警察に通報したり、助けに入ったりしなかった。

1つの事件に対して、複数の通報があっても何の問題もありません。むしろ、警察としては、1つの事件に対する情報がたくさん集まって、対応しやすくなります。「誰かが通報するだろう」「誰かがもう通報しているかも」と思っても、自分自身も通報することで、早期解決に繋がります。

緊急ではないときに使える#9110

緊急性がないが、警察に相談をしたい場合は、#9110を使うのがおすすめです。

近年、警察への通報のなかに

  • 自動車免許の更新について聞きたい
  • お金がないからパトカーで家まで送ってほしい
  • 家に虫が出た、駆除してほしい

など、警察に言う意味がなかったり、緊急事態でなかったりする内容のものが増えています。

いたずら電話を含めると、全体の22.4%(2017年警視庁のデータ)が非有効な通報です。いたずらや緊急性の無い通報は、本当に助けが必要な方と警察とのやり取りを阻害します。

緊急性がなく、生活トラブルなどで警察に話を聞いてもらいたい場合は、#9110の警察相談専用電話を使ってください。

この相談窓口には、

  • ストーカーに悩まされている
  • 家族が暴力を振るう
  • ご近所でトラブルがあり揉めている
  • 特殊詐欺被害にあった

などの相談が日々寄せられています。この相談専用電話にかけると、警察官が発信者のプライバシーを守りながら話を聞き、必要とはんだんすれば、担当部署に電話をつなぎます。

#9110は、平日午前8:30~午後5:15のタイミングで利用できます。(各都道府県警で、若干の違いがあります。)

いたずら通報で逮捕の可能性も

いたずらで、110番通報を繰り返すと、最悪の場合逮捕されることもあります。

2019年には、福岡市で虚偽の通報をして警察から逃げ回って遊ぶ「ハイパーゲーム」が流行り、逮捕者が続出しました。

ホラー映画よりスリルがある-。うその110番をして警察官から逃げ回る「ハイパーゲーム」と呼ばれる“いたずら”が、福岡市西区で少年を中心に広まっている。管轄する福岡西署では今年、虚偽とみられる110番が76件(10月末現在)発生し、9月は19件もあった。背景には、スマートフォンの普及やインターネットの動画サイトの影響があるとみられる。署は「悪質な犯罪行為」として取り締まりを強化、逮捕者も相次いでいる。

「スーパーで25歳の女性ともめています」。10月29日午後7時前、同区で110番が入った。パトカー2台に分乗した警察官4人が急行したが、通報者の姿はなし。店員に聞き込みをしても、トラブルは確認できなかった。署は翌30日夜、偽計業務妨害の疑いで、同市早良区の中学3年生(14)を逮捕した。

通報がうそかどうかは警察が現場で周辺の人から事情を聴かないと判断できず、最低1時間程度はかかる。その間、新たに事件や事故が起きれば初動が遅れることもあり得る。

西日本新聞の記事より抜粋

ハイパーゲームは、福岡の未成年者の間で流行したものですが、こうしたいたずら通報は全国的に広がっています。

いたずらでの通報は、偽計業務妨害という列記とした罪です。遊び感覚で行うことは絶対にやめましょう。

110番のかけ方

いざ、110番通報をするとなったときのかけ方について説明します。

  • 家庭の据え置き型電話
  • 公衆電話
  • 携帯電話・スマートフォン

からかける場合の注意点を詳しく説明します。

据え置き型電話・公衆電話からかける場合

110番通報をするときは、市街局番はいりません。「110」と入力するだけでつながります。市街局番を入れても、警察にはつながらないので注意してください。

110番や119番などの緊急通報は基本無料でかけられます。通信会社や電話会社が、通話料を負担します。

通報したときの状況によっては、警察が到着するまで電話を切らずに、その場の状況を伝えて欲しいと言われることがあります。長時間の通話が続いても、通話料は無料です。代金は気にせず、担当官の指示に従ってください。

公衆電話からの通報も、コインやテレフォンカード無しで可能です。

街なかで公衆電話を見かける機会は減りましたが、お金やスマホを持っていないお子さまが通報したいときにはとても助かります。通学路近くに立ち寄れる公衆電話がないか、一緒に確認しておくとよいでしょう。

公衆電話から通報する場合、電話機の機種によってかけ方が異なります。公衆電話には、「赤い緊急通報ボタンがある機種」「緊急通報ボタンがない機種」の2種類があります。

緊急通報ボタンがある機種
受話器をあげて、緊急通報ボタンを押す。受話口から「ツー」と音が聞こえたら、110と入力する。
緊急通報ボタンがない機種
受話器をあげると、「ツー」と音が聞こえる。その後、110と入力する。

必ず受話器をあげてからでないと、電話がかけられない仕組みなので注意してください。

110番通報は、着信した順番に対応を行います。

同時に何件も通報があったときは、すぐに警察官が対応できないかもしれません。かといって、電話を切ってかけ直すと、対応順が最後になります。これは、せっかく並んだ列を抜けて、最後尾に並び直すようなものです。

携帯電話・スマホからかける場合

携帯電話から110番通報をする場合、据え置き型の電話より隣の都道府県の警察に繋がる可能性が高くなります。隣の警察本部に電話がつながっても、焦らず転送してもらうのを待ちましょう。

携帯電話が普及した今では、110番通報全体の6割以上が携帯電話・スマホからかかってきます。携帯電話やスマホの端末にも、簡単に通報ができるシステムが搭載されています。

iPhoneを使った緊急通報のかけ方

iPhoneには、簡単に緊急通報が可能な仕組みが搭載されています。端末にロックがかかった状態であっても、緊急通報だけは誰でも使用できます。

普段iPhoneを使っている人も、使っていない人も、使い方さえ知っていれば不測の事態に対応できます。

iPhoneを使って緊急通報する場合、ロック画面の左下にある緊急ボタンをタップします。

iPhoneのロック画面

すると、番号入力画面が表示されるので、「110」「119」「118」など任意の緊急通報番号を入力してください。通報先へと繋がります。

iPhone緊急SOS画面

また、iPhone8以降は、サイドボタンと音量ボタンを同時に押す方法が主流です。

このボタンを同時に押すと、「緊急SOS」という赤いスライド式ボタンが表示されます。これを右にスライドすると、「警察(110)」「海上保安庁(118)」「火事・救急車・救助(119)」の3つのボタンが表示されます。

通報したい番号をタップすると、そのまま発信します。

110番通報で聞かれること

110番通報をしたときに聞かれることは、主に以下の6つです。

  • 事件か事故か
  • 時間はいつか
  • どこで起こったか
  • 犯人の特徴
  • 現在の状況は
  • 通報者は誰か

電話に出た警察官が、順番に情報を聞き取ります。警察官の指示にしたがって、冷静に説明をおこないます。

事件か事故か

まず最初に聞かれるのが、事件が起こったのか事故が起こったのかです。何があって通報したのか、簡単に説明しましょう。

「交通事故」「泥棒」「喧嘩」など、簡単な単語だけでも十分伝わります。状況を詳しく説明しようとすると、ほかの必要な情報を聞き取るまでに時間がかかります。最初の答えはごく簡単なもので大丈夫です。

警察官が詳しい状況の説明を求めたら、聞かれた通りに回答してください。

時間はいつか

事件や事故が起こったのはいつかを伝えます。正確な時間がわからなくても「ついさっき」「30分前」など、大体の時刻で構いません。

場所はどこか

場所は、できれば市町村から答えます。住所以外では、目印となるお店の名前や建物の名前を答えます。

正確な地名や住所がわからなかったり、目印になる建物がない場合は、近くの

  • 電柱
  • 交通標識
  • 信号機
  • 自動販売機

を探してください。電柱・交通標識・信号機には、それぞれ管理番号が明記されています。その番号を警察官に伝えれば、すぐに住所が特定されます。

また、自動販売機には、必ず住所が明記されています。記載された住所を警察官に伝えてください。自動販売機の住所表記は、飲み物の取り出し口の上にあります。

犯人の特徴

事件の通報の場合、犯人の特徴を聞かれます。

  • 服装
  • 年齢・性別
  • 人数
  • 逃げた方向

などを伝えます。全て覚えていなくても、わかる範囲で答えてください。

現在の状況

通報時点での現場の様子を伝えます。けが人がいるのか、ほかに目撃者がいるかなどを答えます。

警察官が必要だと判断した場合は、合わせて救急車の配備などを行います。

通報者の情報

通報した人が誰なのかについても聞かれます。被害者本人なのか、目撃者なのかといった質問に答えてください。

場合によっては、住所や連絡先を聞かれることもあります。

その他緊急通報用の電話番号一覧

警察への通報(110)以外にも、救急や消防、海上保安庁への緊急通報用の電話番号があります。

110番と119番を知っている方は多くても、それ以外の通報先を知っている方は少ないのではないでしょうか。

いざというときに役立つ、緊急通報用の電話番号を一覧にまとめました。

119:火事・救助

119番は110番と並んで有名な、緊急通報用の電話番号です。多くの国では、救急と消防の電話番号は別々ですが、日本では一緒です。

そのため、119番にかけると、真っ先に「火事ですか、救急車ですか」と要件を聞かれます。通報内容を、焦らず落ち着いて説明してください。

♯7119:救急車を呼ぶか迷ったら

急な体調の変化があったが、救急車を呼ぶべきか悩んだときは、♯7119(救急安心センター事業)の利用がおすすめです。

電話口で、医師や看護師が対応してくれます。症状を詳しく聞き取ったあとに、必要と判断すれば救急車の手配をしたり、受診可能な病院を調べたりします。

私は、家族の体調が急変したときに♯7119を利用したことがあります。夜間で空いている病院が少ない上に、この症状が救急車を呼んでいいものなのか判断できなかったからです。

電話をしたところ、看護師の方が出て、詳しく症状を聞き取ってくれました。その後、緊急性は無いとして救急車の手配は行わず、近所で受信可能な病院を複数挙げてくれました。

最も近い病院を伝えたところ、その病院の医師に電話をつないでもらい、すぐに受診できるよう手続きができました。

118:海上保安庁

海での事件や事故を通報する場合は、118番にかけます。海上保安庁につながり、迅速な対応をとってもらえます。

主な通報内容としては、

  • 海難事故を目撃した、あるいは被害にあった
  • 船舶から油が漏れている
  • 不審な船を発見した

などがあります。

海水浴場で、沖に流された人が居るときなどに有効です。

189:児童虐待の通報

子どもの泣き声が一晩中聞こえる、外に閉め出された子がいる、など児童虐待が疑われる場合は、189番の児童相談所虐待対応ダイヤルを利用します。

この番号に電話をかけると、近くの児童相談所に繋がります。相談や通告は、匿名で行うこともできます。通報者のプライバシーは守られます。

まとめ

110番をはじめ、緊急通報は、頻繁に利用するシステムではありません。ですが、いざというとき、冷静かつ確実に連絡することが求められるものでもあります。

子どもはもちろん、大人でも正しい利用方法を知っている人は少ないです。

定期的に使い方を確認しておいて、いざというとき焦らず行動できるようにしておくと、安心です。

アルソック

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
遠い土地に住む祖母が一人暮らしになったのをきっかけに、自宅の防犯対策について興味を持ちました。週一で散歩のついでにいろんな家の防犯対策をチェックしています。

より良い情報をお届けするため、ホームセキュリティの教科書 編集部 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

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