【悪質訪問販売】高齢者の一人暮らしで発生するリスクとその対策方法【特殊詐欺】

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高齢者の一人暮らし

毎年高齢化が進む日本では、高齢者の一人暮らし世帯がどんどん増えています。頼りになる家族がいなかったり、高齢者自身が他人に頼ることに拒否感を感じたりなど、理由はさまざまです。

内閣府の予測では、65歳以上の高齢者の一人暮らしは、今後数十年で倍近くまで増加するとされています。

高齢者の一人暮らしが増えると、防犯面でのリスクが発生します。高齢者を狙った犯罪が、近年頻発しているからです。

たとえば、悪質な訪問販売や、巧妙な手法による特殊詐欺などがあります。

防犯面から考えて、高齢者の一人暮らしで発生しうるリスクと解決策について解説します。

※金額・手数料表記はすべて税込です。

高齢者の一人暮らしは増え続ける

高齢者の一人暮らしは、増加傾向にあります。また、この先も増え続けるだろうと予測されています。

内閣府が発表した、2019年版高齢社会白書(全体版) 3.家族と世帯によると、1980年には男性約19万人、女性約69万人、65歳以上人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であった65歳以上の方の一人暮らし世帯率は、2015年には男性約192万人、女性約400万人、65歳以上人口に占める割合は男性13.3%、女性21.1%となりました。

厚生労働省の2022年の調査では、65歳以上の方がいる世帯数は全世帯の49.7%。そのうち単独世帯は21.7%。男性の単独世帯は18.5%、女性の単独世帯は33%となっています(2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況)
  
予測によると、2040年頃には、65歳以上の高齢者のうち、男性24.5%、女性20.8%が一人暮らしになるだろうと考えられます。

高齢者の一人暮らしが増え続けるということは、それらの人をターゲットにした犯罪の数も増え続けると考えられます。

悪質な訪問販売

一人暮らしの場合、悪質な訪問販売に十分気をつけなければなりません。言葉巧みに高額な商品を売りつけるケースが多数発生しています。

高齢者が一人で生活している世帯の場合、悪質な業者が自宅に来ても上手く対応できないリスクがあります。「自分は絶対に騙されない」と思っている人ほど、いざ自分が被害に遭うと、いつもどおりの判断ができなくなります。

相談する相手がすぐそばにいないのも、引っかかってしまいやすい理由と言えます。

水道局を装った悪質販売の例

神奈川県の公式ホームページには、県内で実際に起こった悪質な訪問販売の事例を紹介しています。

ひとつ例をあげると、

水道局や委託業者を名乗る人物が水質調査と称して、家を訪問。水道水に試薬を入れて変色するのを見せ、「塩素濃度が濃すぎる」などと言い、浄水器の設置や水道管の取り替えを勧められた。

神奈川県公式ホームページより

といったケースがあります。この事例に対して神奈川県は、

浄水器の直接販売や委託販売及びそれらを目的とした水質検査や修繕は行っていません。また、お客さまの依頼がない限り、職員が伺って水質などの検査は行いません。

水道水は、塩素によって消毒することが法律で義務付けられています。浄水場では、すべての蛇口で残留塩素濃度が0.1mg/リットル以上となるように塩素を注入しています。

したがって、水道水が変色するのは、この残留塩素と試薬が反応するもので、消毒能力があることを示しているものですから、問題はありません。

と返答しています。

これは、水道管が汚染されているからと理由づけて、浄水器などの器具を販売する手法です。住民の不安を煽ることで、正常な判断ができなくなるように仕向けています。

悪質な訪問販売の業者は、とても腰が低く親切な口調で住民に近寄ることが多いです。特に高齢者は信用してしまいやすく、断れなくなりがちです。

マークで個人情報を共有

マーキング

悪質な訪問販売業者は、マークや印を使って個人情報を共有します。画像のように、玄関や表札などにこっそりマークをつけておく手法を「マーキング」といいます。

マーキングは、悪質な訪問販売業者が交渉の進捗状況を記録したり、業者同士で情報を共有するために使われます。

どのようなマークを使用するのか、実際に使われた例をあげて説明します。

マーキングには、「記号を使ったもの」「数字を使ったもの」「アルファベットを使ったもの」などの種類があります。

  • ◯:営業話をじっくり聞く
  • △:営業の効果あり、あとひと押し
  • ◎:成約済み
  • ☆:押しに弱い性格

などは、記号を使ったマーキングの例です。住民の成績や過去の売上実績に関する情報が込められるケースが多いです。

  • 20:20代
  • 918:9時から18時までは不在
  • 3:3人家族

数字を使ったマークは、住民の年齢や不在時間など、より詳細な個人情報であることが多いです。

  • M:男性
  • W:女性
  • D:大学生
  • F:ファミリー
  • S:シングル、一人暮らし

アルファベットを使ったマークは、一文字で住民の属性を表すことができるので、よく使われます。

これらのマークを組み合わせると、

  • W20S:20代の女性の一人暮らし
  • MD1018:男子大学生、10時から18時留守
  • 60S◎:60代の一人暮らし、以前契約が成立した

のように、たった数文字で、たくさんの情報を詰め込めるのです。

マーキングは、玄関の表札やポストなどにつけられます。万が一、自宅にマーキングがされていたら、すぐに消すよう心がけましょう。

もっとマーキングについてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

特殊詐欺

高齢者を狙った特殊詐欺の発生件数も、年々増え続けています。

近年起こったケースは、警察官を名乗ったり、金融庁職員を名乗ったりと、入念にシナリオが組まれた手口が多いです。

私の祖母も、数年前にいわゆる「還付金詐欺」に引っかかり、少なくないお金を盗まれた経験があります。

本当だと思わせる詐欺の手口

私の祖母は、済む地域の職員を名乗る男から連絡を受けて、お金を盗まれました。実際は、その男は市の職員でもなんでもなくて、お金は戻ってくることはありませんでした。

本人は相当驚いたのか、くわしいことは覚えていませんでしたが、私が話を聞いてまとめた詐欺の手口は以下のとおりです。

  1. 祖母の元に、市の職員と名乗る男から「医療費の還付金がある」と電話が来る
  2. 当時、家族が持病で入退院を繰り返していたため、祖母は本当だと信じ込む
  3. 「還付金を入金するので、銀行口座とキャッシュカードの暗証番号を教えて欲しい」と言われる
  4. 後日、銀行口座からはお金がなくなり、市に問い合わせたところ還付金があるというのは嘘だとわかった

被害にあった金額は約100万円とのことです。

このケースで不幸だったのは、家族の入退院があり、高額な医療費が発生していたことです。そのため、祖母は還付金があるのだと言われても、あまり疑いませんでした。

こういった事例の場合、特に大切なのは「即決しない」ことだと思います。一度話を持ち帰って、じっくり考えることで、相手の言うことの怪しさに気づけます。

犯人は、相手がじっくり考えないよう、理由をつけてすぐ決断するようにせまります。が、だいたいのことは、今すぐ決断する必要はないはずです。少なくとも、大きなお金が絡む話で、すぐに決断しなくてはならない場面はそうそうありません。

相手の口車に乗らず、一旦話を持ち帰ることがとても重要です。

詐欺や訪問販売を防ぐためには

やむを得ず、高齢者が一人で生活をしている場合、犯罪被害に遭わないような工夫をするのが重要です。

自分一人で対策するのが不安であれば、便利なグッズやシステムを使うのがよいと思います。

たとえば、防犯カメラシステムや、録画機能付きのインターホン、ホームセキュリティなどが有効です。

防犯カメラシステム

防犯カメラを設置しておくと、大きく2つの効果があります。

  • 記録されるのを恐れて、犯罪者が近寄らない
  • いざ犯罪被害に遭っても、十分な証拠が残る

まず防犯カメラの犯罪予防効果についてです。悪質訪問販売や特殊詐欺の受け子などは、高齢者の自宅を訪問するケースが多いです。

そのときに、自宅に防犯カメラがあれば、記録されることを恐れた犯人が犯行を取りやめるのです。

防犯カメラの犯罪予防効果は、特殊詐欺や訪問販売だけにあるわけではありません。空き巣などの侵入犯罪にも有効です。

空き巣は、ターゲットと決めた家に複数回下見に行きます。そのときに防犯カメラが設置してあれば、その家をターゲットから外す確率が高まります。

また、万が一犯罪被害に遭ってしまっても、防犯カメラがあれば、十分な証拠が残ります。

おすすめは、ホームセキュリティで有名なセコムの防犯カメラシステムです。たくさんの防犯カメラが揃っており、自宅の環境やニーズによって組み合わせられます。一つのシステムで管理するので、機械が苦手な高齢者でも使いやすいです。

セコムのホームカメラシステムに関しては、以下の記事でくわしく説明しています。

安価で対策したいならインターホンの新調を

防犯カメラは費用が高くて、導入するのは難しいと考えるのであれば、インターホンの新調がおすすめです。

特に、録画機能つきインターホンだと、防犯カメラと同じように映像で記録が残せます。なかには人感センサーが搭載されたものもあり、わざわざ記録開始の操作をしなくても、訪問者全員の記録が可能です。

防犯カメラだと、数万円するものが多いですが、録画機能つきインターホンであれば1万円前後で購入できます。防犯カメラの設置が難しいマンションやアパートで使えるものもあります。

初めて防犯対策をする方や、できるだけ費用をおさえたい方におすすめです。

ただし、防犯カメラより画角が狭く、記録できる範囲に限りがあるのが、録画機能つきインターホンのデメリットです。

メリット・デメリットを見比べながら、自分に合うものを見つけてください。

おすすめの録画機能つきインターホンについては、以下の記事でくわしく解説しています。

ホームセキュリティで第三者に助けを

ホームセキュリティを使って、悪質な業者や詐欺犯を撃退するのもおすすめの方法です。

大手のホームセキュリティであれば、通報ボタンを押すだけで警備員が自宅に急行する「駆けつけサービス」があります。

怪しい人が来たときに、駆けつけサービスを利用すれば、家族が近くにいなくても、第三者に助けを求められます。

相手の押しが強くて、断るのがなかなかできないときなどに利用するとよいと思います。

近年のホームセキュリティには、高齢者向けのプランが多数あります。一軒家で暮らす人向けのものから、賃貸住宅や小規模戸建てで暮らす方向けのものまであります。

特に人気の、セコムの高齢者向けプランと、ALSOKの高齢者向けプランを比較した記事があるので、よければ参考にしてみてください。

アルソック

高齢者の防犯に関する記事はこちら

この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
遠い土地に住む祖母が一人暮らしになったのをきっかけに、自宅の防犯対策について興味を持ちました。週一で散歩のついでにいろんな家の防犯対策をチェックしています。

より良い情報をお届けするため、疾風AI がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

ありがとうございます。

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