二重窓は空き巣対策に有効か、他の窓用防犯グッズと効果を比較
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二重窓は、別名「内窓」ともいわれる窓の種類です。窓のサッシを2組つけ、通常の窓を2セット設置できます。
室内の暖かさを逃さない効果があり、寒い地域や雪の多い地方で活用してきました。現在では、防音効果もあるとして雪の少ない地域でも、設置家庭が増えています。
最近では、二重窓の防犯効果が見直されています。
窓を2組設置すると、施錠するポイントが増え、空き巣や泥棒が侵入するのに手間取るからです。
本記事では、二重窓が空き巣対策として効果があるかまとめています。また、他の窓用防犯グッズの効果や、費用の比較も行います。
目次
二重窓の防犯効果
二重窓に防犯効果があるという最大の理由は、「侵入に時間がかかる」点です。
一般的な窓なら、ガラスを割って割れ目から手を入れるだけで解錠できます。手慣れた空き巣では1分以内に室内に侵入が可能です。
しかし、二重窓なら1枚めを解錠できても、まだもう1枚残っています。
確実に侵入に手間取るとわかります。空き巣は、二重窓がある家は最初から狙いません。もし、狙われても途中で諦める確率が高くなります。
窓を二重にするだけで、なぜ空き巣対策ができるのかまとめました。
半数の空き巣は窓から侵入する
空き巣が家屋に侵入するときに、正面玄関から入る確率は低いです。約6割の空き巣は、窓からの侵入です。画像は、警察庁が調べた侵入犯罪者の侵入経路をまとめたものです。
表出入り口(正面玄関)や、その他の出入り口(勝手口など)ではなく、窓から侵入のケースが断トツで1位となっています。
それだけ窓を侵入経路とする空き巣が多いのです。つまり、空き巣対策をするなら、「窓の防犯」への意識が重要です。
また、空き巣の侵入手段として最も多いのが、無締りの窓から侵入のケースです。
「2階の窓だから大丈夫だろう」「少し換気しておくだけだから大丈夫だろう」と考えていると、空き巣に目をつけられるかもしれません。こまめに鍵を確認する必要があります。
次に多い侵入手段が、ガラス破りです。一般的な窓は、クレセント錠と呼ばれる半月型の鍵です。ほとんどの窓は、クレセント錠周辺のガラスを割って手を差し込めば、簡単に解錠できます。
窓には、
- 侵入経路として選ばれやすい
のに
- 簡単に破られる
という特徴があります。
空き巣対策には、窓の防犯力を高めるグッズなどで対策する必要があります。
今回取り上げたデータは、一戸建て住宅を狙った侵入犯罪をまとめたものです。
しかし、集合住宅でも窓が防犯上重要なのは同じです。
集合住宅でも、3階以下の低階層なら空き巣被害の53.3%が窓からの侵入です。
4階建て以上の高層階でも、32.9%が窓からの侵入です。
高い場所に住んでいても、窓の防犯には十分気をつける必要があります。
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防犯の基本は1ドア2ロック
防犯対策のうえで非常に大切なキーワードが、「1ドア2ロック」です。これは、一つのドアや窓に2つ以上の鍵を設置することです。
鍵が2つ以上ついていると、侵入にかかる時間も2倍になります。
空き巣の多くは、あらかじめターゲットとなる住宅を下見します。2つ以上の鍵がある家は、侵入に手間取るとして候補から外します。
つまり、1ドア2ロックを心がけると
- 空き巣が自宅を狙わない
- いざ狙われても簡単に侵入させない
という効果があります。
この1ドア2ロックは、玄関の扉に2つ以上の鍵をつけることを指して広まりました。ただし、最近では玄関だけでなく勝手口や窓にも2つ以上鍵をかけるのが奨励されています。
国土交通省発表の「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」には、
・住戸の玄関扉は、外部の様子を見通すことが可能なドアスコープ等を設置したものとするとともに、錠の機能を補完するドアチェーン等を設置したものとする。
・バルコニー等に面する住戸の窓のうち侵入が想定される階に存するものは、錠付きクレセント、補助錠の設置等侵入防止に有効な措置を講じたものとし、避難計画等に支障のない範囲において窓ガラスの材質は、破壊が困難なものとすることが望ましい。
出典:防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針
とあります。
一般的な鍵だけでなく、補助錠やドアチェーンの使用が重要です。
つまり、2つの窓ガラスと鍵を設置する二重窓は、空き巣対策として十分な効果があると考えられます。
空き巣は侵入に5分かかるとあきらめる
警察庁の調べによると、空き巣の7割は「5分以上侵入に手間取ったらあきらめる」と回答しているそうです。
空き巣にとって、一番怖いのが
- 人に見られること
です。
自分の犯行がばれるリスクが少しでもあるなら、侵入しません。そのため、他の人の視線を集めそうな「音や光」を極端に嫌う傾向があります。
それと同じ理由で、時間のかかる侵入はしないと決めている空き巣も多いです。その目安となるのが「侵入に5分かかるか」です。
つまり、5分以上侵入攻撃に耐えられれば、空き巣のターゲットになっても侵入されずにすむのです。
二重窓を設置すると解錠・侵入に手間取ります。二重窓の効果で、侵入攻撃に5分以上かかれば、空き巣はあきらめます。
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二重窓のメリット・デメリット
二重窓には、十分な防犯効果があると説明してきました。しかし、単純に窓の防犯対策をするなら、防犯ステッカーや補助錠などのアイテムがたくさんあります。
防犯面だけを求めるなら、二重窓にする必要はありません。ただ、二重窓には防犯面以外にも、さまざまな効果が期待できるメリットがあります。
一方で、気軽に自宅に設置できない、維持が大変というデメリットもあります。
そこで、二重窓のメリットやデメリットをまとめました。
メリット:防犯以外にも効果が期待できる
二重窓を、防犯対策のためだけに導入する人は少ないかと思います。二重窓には、防犯効果以外にも
- 断熱効果
- 結露防止効果
- 防音効果
があります。
まず、断熱効果は、二重窓導入の一番の理由です。北海道など寒い地域や、日本海の豪雪地帯などでよく使われています。
窓が二重だと、外気が室内の空気に与える影響が小さくなります。
冬は、外の冷たい空気が入り込み室温が下がらないようにします。夏は、エアコンの冷気が逃げにくくなります。室温の管理が簡単になり、暖房・冷房のコストをおさえられます。
同じ理由で、窓ガラスにできる結露が少なくなります。結露は室外と室内の温度差によって発生します。結露は放っておくとカビの原因になり、カビの量が増えると床や窓サッシの劣化にも繋がります。
二重窓なら結露の発生もおさえ、窓の手入れにかける時間が短くなります。
さらに都市部で注目の効果が防音効果です。二重窓にしておくと、1枚めの窓と2枚めの窓の間に空気の層ができます。
この空気層が、外からの音を吸収し、ボリュームダウンします。
部屋が大きな道路や線路に面し、常に車や電車の音が聞こえる家なら、二重窓にした方がトラブルを回避できるかもしれません。
デメリット:設置に費用・手間がかかる
二重窓の第一のデメリットに、設置費用がかかる点があげられます。
窓のサイズによってかかる費用は変わってきますが、小さな窓なら5~6万円、庭やベランダへ続くような大きな窓は10~12万円かかるケースもあります。
二重窓と同じような防犯効果がある補助錠が、2,000円前後で購入できる点を考えると、かなり割高です。
設置前には、金額とメリットを天秤にかけて考えるのが重要です。
また、もう一つのデメリットに、手入れの手間があります。
実際に二重窓を導入した人の口コミによると、単純に窓ガラスが1組増えてガラスやサッシの掃除に時間がかかるそうです。
特にサッシは、二重窓になると複雑な構造になります。でこぼこした部分が増えると、ホコリがたまりやすくなります。掃除場所が増えるだけでなく、ホコリのたまりやすさも変わり、掃除が面倒と感じる人が多いです。
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他の窓防犯グッズとの比較
二重窓には大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。窓の防犯対策のうえで、二重窓が最善の方法かは、窓防犯に何を求めるかによって変わります。
今回は、ほかにも窓の防犯対策として有効というグッズを取り上げ、二重窓と効果やメリット・デメリットの比較を行います。
補助錠は安価だが防犯効果のみ
補助錠は、窓に簡単に設置できるもう一つの鍵です。設置に特別な技術や道具は必要ありません。誰でも簡単に、1ドア2ロックを実現できるのがメリットです。
二重窓と同じように、窓を破るまでに手間をかけ、空き巣に犯行をあきらめさせる効果があります。
補助錠の一番のメリットは、安価で手に入れられる点です。安いものでは1,000円前後、一般的なものでも2,000円~3,000円で購入できます。
二重窓の導入に10万円近くかかるのを考えると、気軽に導入できる窓の防犯グッズです。
しかし、補助錠には二重窓のように防犯効果以外のメリットはありません。防犯効果を増すだけです。
防犯効果以外にも、断熱効果や防音効果が欲しい場合は、二重窓の方がおすすめです。
補助錠は、とにかく防犯効果だけ欲しい方におすすめの防犯グッズです。お金をかけずに空き巣対策をしたい人には、ぴったりのアイテムです。
ただし、多くの補助錠は一度設置すると取り外しできません。賃貸住宅は、設置前に管理者に確認してください。
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防犯ガラスは災害時に不安
防犯ガラスも、最近注目の窓の防犯グッズです。防犯ガラスの特徴は、外から攻撃を受けても割れない強さにあります。
CPマークという認可マークがついたガラスが人気で、実際に使用する人も増えています。CPマークは、「防犯建物部品」と認められた製品のみに使われます。
CPマークの基準試験は、「侵入攻撃に対して5分以上耐えられるか」です。5分とは、先ほども説明した空き巣が犯行をあきらめる基準時間です。
認定のテストでは、製品にありとあらゆる侵入攻撃を行い、5分間耐えられるか確認済です。
2004年には、警察庁がCPマークを与えた防犯建物部品一覧を公表しています。
防犯ガラスの多くは、CPマークがついたガラスを使っています。導入料金は二重窓と大体同じで、10万円前後が相場です。
割れないガラスは非常に有能で、空き巣の侵入攻撃だけでなく、自然災害で飛ばされたり、流されたりした異物からも家を守れます。
大型台風でトタン屋根の飛来や、川の決壊で倒木が窓ガラスを割るニュースをよく見ますが、あれらの被害を防犯ガラスが防ぎます。
防犯ガラスには、デメリットもあります。外からの攻撃に強いのと同様に、内側からの攻撃にも強いのです。
自宅が災害にあって外へ避難するとき、玄関が使えない場合があります。地震や津波・洪水、大雪などが想定できます。
そんなときに自宅の窓が防犯ガラスだと、内側からガラスを破って脱出できない可能性があります。
防犯効果の高さを考えると、防犯ガラスはとても有能です。災害や緊急時の脱出を考えると、不安も残ります。
個人的には、同じ価格帯で防犯効果も変わらないなら、二重窓で十分ではないかと思います。
防犯ガラスと似た効果があるCPマークつき製品に、防犯フィルムがあります。こちらは内側にフィルム施工がないので、脱出もいくらか簡単になるそうです。
防犯フィルムについてまとめた記事は、以下のとおりです。
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